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社長コラム

【第11話】イベント:"声“聞く貴重な機会 ―

毎年、酒蔵にお客様を呼ぶイベント「仙醸 蔵まつり」を開いている。6年目の今年も今週末の26日に予定する。当社の商品を紹介する試飲・販売コーナー、酒蔵見学などが中心だが、社員で作った豚汁のサービスや、利き酒コンテスト、そば、漬物などの販売も地元業者の協力を得て行っている。
 
地元客を中心に毎年約800人にご来場いただき、定着してきたと感じるが毎年、創意工夫を重ねている。今年は地元の豆腐など、酒に合う地域の食材を充実させる。木曾の開田高原からも木曾牛などの特産品を提供いただく。専門家による地域の食と酒に関するセミナーも企画した。
 
 開催目的は当社のファンづくり。商品(酒)と社員(人)、企業(蔵)に愛着を持っていただくこと、どんな人がどんな場所で、どんな思いで作っている商品であるかを伝える。同時にお客や、出展業者の声を直接聞ける貴重な機会でもある。
もう一つの目的は社員研修である。準備に当たり、社員は日頃所属する営業部、醸造部といった枠を横断した3部会(総務・食・酒)に分かれ、責任者のもと、部会ごとに計画、運営、反省を行っている。日常業務と並行して準備を進め、当日も悪天候などの予測しない事態にも対応していくという経験は、通常業務上でもプラスになる。また、おもてなしの一環で環境整備にも力が入り、社内がきれいになるのも良いことだ。
 
 蔵開放の取り組みは近年、各地で盛んに行われ私も足を運んでいる。各社の趣向は様々だが、面白いのは経営者の個性がよく現れることだ。会場のしつらえや、企画のセンス、その中の力点、さらにはスタッフの一体感、環境への配慮、組織の統率など、良くも悪くも経営者が自らの力量をさらす場であり、そこから学ぶ場である。
 
 醸造所が地域に関わる祭典と言えばミュンヘンのオクトーバーフェストが世界的に有名だ。200年の伝統をもつこの催しは数週間で600万人が訪れ、580万リットルのビールが消費される。規模は違うが日本酒の各蔵元の取り組みによって世界から人を呼ぶ蔵まつりが開催できる日もそう遠くはないと思っている。

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