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社長コラム

【第6話】日本酒の輸出:郷土の文化売り込め

先日東京で「日本酒シンポジウム」が開催された。日本貿易振興機構(JETRO)の主催に経産省、農水省、国税庁が後援する形で、まさに日本酒の輸出をオールジャパン体制で支援する出発点といえる催しとなった。世界のワイン事情に詳しい海外の専門家も参加し、活発な議論が交わされた。その模様をお伝えしたい。    メーンゲストは、それぞれ英国、香港を拠点に活躍するマスターオブワイン(以下MW)の称号を持つ2人。MWはワインの世界では最高の権威を持つとされ、官能評価の卓越した技能に加えてワイン産業を地球規模で把握し、助言、指導することを使命とする。世界でもわずか300人ほどのプロ集団で、日本人は現時点でいない。   彼らの話の要点は、①日本酒を世界のマーケットに広めるには、ワインの流通網を利用するのが早道。そのためにワイン業界の常識を知り、その視点で日本酒の魅力を説明する必要がある。②世界市場で「仙醸」などの自社ブランドを売るか、「信州」などの地域を打ち出すか、「山田錦」といった品種に焦点を当てるか、個々の酒蔵が選択すべき。酒蔵同士が共通の市場戦略を持つ場合は連携すべき――と、示唆に富んでいた。   さらに、高級酒の海外輸出では先駆者ともいえる北陸の蔵元の言葉は最も印象に残った。いわく、「大切なことは、自社の酒とそれを生み出す郷土の自然や文化について自信を持って語れるかだ。」そして、「その自信の根拠とは、そのお酒が地元でお客様に支持され、郷土の誇りとなっているかどうかだ」という。    弊社は南信州、桜の名所高遠で代々酒造りを続けてきた。創業は明治維新から2年さかのぼる1866年。高遠城址公園の桜が現在の場所に移植されたのは、それから数年後と伝えられている。まもなく桜の時期を迎える。高遠の地酒として、地域の人々から愛され、観る人に誇りと潤いを与え続けてきたこの桜のような存在でありたいと思う。 海外市場での成功はその延長線上にあるのだと信じ、まず足元から、地道な努力を重ねていきたい。

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